一番寂しい時期

 沈丁花が香って桜が散る花冷えの頃。一番涙腺が弱い季節。(花粉症ではなく)夫の大事な仲間が一人、旅立った。にぎやかな集まりの中、いつも一番後ろで静かに微笑んでいるような穏やかな人だった。
 もう二度と会えないと思うと辛い。海外のオフ会に行っても「あれ?今回は欠席?」って言ってしまいそう。訃報を知った夫のほかの仲間が電話口でずっと泣いていた。ああ、人ってすごい。いいおっちゃんが彼を想って泣いている。人ってすごい。たまたま先に逝ってしまった彼。でもたくさんの優しい思い出を遺してもらったし、いつかは夫も私も逝くときがくる。自分が逝ったとき、素敵な想い出をありがとう、って誰か言ってくれるかな。
また泣きじゃくっていた彼もまっすぐで素直でほんとうに素敵な人。

そんな仲間に支えられている、夫は幸せ者だ。