重い障害を生きるということ 高谷 清著

 常に何冊かの本を読んでいる。この何年かは仕事や研修のネタなど直接的かつ即戦的な書物が多い。
そんな中、久しぶりに感覚で「ああ…そういうだったのか」と腑に落ちる本に出会えた。
尊敬してやまない、感性も似ている女性から薦められ、すぐあっという間にに読んでしまった。

紹介文を抜粋する。
心身に重い障害のある人たちは、世界をどう感じているのか。生きがいや喜びはなにか。長年、重症心身障害児施設に勤務する意思がこの人たちの日常を細やかに捉え、人が生きるということ、その生を保障する社会について語る。

いちばん心が動かされた部分がここである。
『立体的存在である人間は三次元の空間に存在する。が、重症心身障害といわれる人たちは何らかの介助がなければずっと平面上に動かずに存在している。つまり平面の二次元世界で存在し、時間も感知しにくい状態にあると言える。』
彼・彼女らの状態ではなく、時間的空間的に捉えられるその感性にびっくりした。

そして、これは重症心身障害といわれる人たちだけの状態ではない。私もいつか平面の二次元世界で存在することがあると思う。
「人類戦士」のほんのしずくのようなお手伝いをさせていただいている者として、
少しでもこの言葉が気になった方には、ぜひともお読みいただきたい1冊。

重い障害を生きるということ (岩波新書)

重い障害を生きるということ (岩波新書)